フランスの蒸留酒の地理的表示、その読み方
コニャック(Cognac)、アルマニャック(Armagnac)、カルヴァドス(Calvados)、マルティニークのラム・アグリコール(rhum agricole)、パスティス・ド・マルセイユ(Pastis de Marseille)。フランスの蒸留酒は、欧州連合に登録された数十の地理的表示(GI)をもつ。これらの略号の背後には、あまり知られていない法制度がある。ひとつのオー・ド・ヴィー(蒸留酒)が、法的に対抗しうる「出生地」をもちうるという考え方を生み出した制度である。
そもそも何が問題なのか
地理的表示(GI)は、集団的な知的財産権である。製品仕様書を遵守する、画定された生産区域の生産者に、ひとつの名称の使用を留保するものである。コニャックという名称を「所有」する者はいない。その名称は、定められた区域のなかで、規則に従って生産する人びとのものである。
フランスではさらに、一部の蒸留酒が原産地統制呼称(AOC)の対象にもなる。歴史的により厳格な国内制度であり、テロワールとの結びつきを、土壌、気候、品種、技というあらゆる側面で立証しなければならない。
GIは「これは良いものだ」とは言わない。「これはここから来たものであり、このように造られた」と言うのである。
製品仕様書が実際に課すもの
蒸留酒の製品仕様書が定めるのは、地理だけにとどまらない。製品によって、次のような事項を定めている。
- 生産区域:ときにクリュ(cru)に細分される。たとえばコニャックの六つのクリュは、グランド・シャンパーニュ(Grande Champagne)からボワ・ゾルディネール(Bois ordinaires)にまで及ぶ。
- 認められる原料:ワインスピリッツにはブドウ品種、カルヴァドスにはリンゴと洋梨の品種、ラムにはサトウキビ。
- 蒸留方法:コニャックはシャラント式単式蒸留器による二回蒸留を義務づけている。アルマニャックは歴史的に、アルマニャック式連続蒸留器による連続蒸留を主としてきた。カルヴァドス・ペイ・ドージュ(Calvados Pays d'Auge)は二回蒸留を義務づけている。
- 熟成:最低期間、容器の種類、貯蔵庫の条件。
- アルコール度数と製造上の処理:アルコール分、加水による度数の調整、認められる添加と禁じられる添加。
マルティニークのラム・アグリコールという特異な例
1996年に認められたAOCマルティニーク(Martinique)は、今日にいたるまで、ラムとしては世界で唯一の原産地統制呼称である。この呼称はひとつの製法を定めている。砂糖の副産物である糖蜜ではなく、搾りたてのサトウキビ果汁、すなわちヴズー(vesou)を蒸留する方法である。
この区別は、フランスのラムを読み解くうえでの一貫した手がかりである。ラム・アグリコールは、刈り取りから数時間のうちに搾られ発酵された果汁から生まれる。ラム・トラディショネル(rhum traditionnel)は糖蜜から生まれる。二つの原料、二つの農業の論理、二つの香りの世界が、ひとつの語のもとにある。
GIが保証しないもの
三つの誤解が繰り返し現れる。
GIは味の品質を示すラベルではない。GIが保証するのは原産地と製法であって、優秀さの水準ではない。原産地呼称のもとにある製品が凡庸なこともあり、呼称の外にある製品が注目に値することもある。フランスの多くのフルーツスピリッツやジンがそうであり、それらはいかなるGIにも属さない。
GIは生産者の規模について何も語らない。世界中に輸出するメゾンにも、ブイユール・ド・クリュ(bouilleur de cru、自家の収穫物を蒸留する生産者)にも、区別なく適用される。それこそがGIの最大の長所である。GIが守るのは企業ではなく、集団の文化遺産である。
熟成年数の表示は、直感どおりには読めない。いくつかの原産地呼称では、熟成に関する表示は平均ではなく、ブレンドに含まれる最も若いオー・ド・ヴィーを基準としている。したがって、ブレンドには表示から想像されるよりはるかに古いオー・ド・ヴィーが含まれていることがある。
なぜ文化遺産の問題なのか
フランスの蒸留酒の原産地呼称は、この国が「テロワールの法」を生み出しつつあった1930年代から1940年代にかけて築かれた。それは、地域の技を法のことばに置き換えようとした、世界でも最も古い試みのひとつである。無形文化遺産という概念が生まれるはるか以前のことである。
これらの制度を記録することは、ひとつの場所、ひとつの植物、ひとつの所作のあいだの結びつきを考える、フランス独自の方法を記録することである。それはSpiLiの学術的な取り組みのひとつである。すべての地理的表示は、その区域、カテゴリー、特徴とともに蒸留酒のアトラスの地図に示されている。
ある原産地呼称について、その歴史や変遷、曖昧な部分まで深く知る人へ。アトラスは寄稿者を募っている。